君のスガタ
 私に恋愛感情を抱いていたなんて一ミリも考えもしなかった。

 きよしとは最初に会った時くらいしか話せなかったし。

 ようやく最近話すようになって、きよしがどんな奴か分かってきて、もっと話したい、友達として仲良くなりたいって思っている矢先だった。

 友達としてではなく、彼女として関わっていきたいってことだよね。

 ここで断ったら、友達には戻れないの?

 私はきよしの方を見て、考え込んでしまった。

「柚?」

 考え込んでいた私はきよしの言葉で現実に帰る。

「私……きよしのことは友達って思ってた。それは、きよしは違うってことなの?」

 真正面にいるきよしに問う。

「そう。僕は恋愛感情で好きだから。柚は僕のことは友達でしか見れない?」

 きよしは私の右頬を右手で触れるか触れないギリギリのラインで愛おしそうにほんの一瞬微笑んでから、手を下した。
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