君のスガタ
 席に戻ると、担任の刈谷先生が来た。

朝礼が終わり、あっという間にお昼の時間になっていた。

「柚。ご飯食べよう」

 めぐみは自分の弁当箱をゆらゆらと揺らして、私の席近くに来た。

「うん。食べよう」

 私はめぐみに頷いて、声を発した。

「さっきさ、きよしがずっと私のこと見てきたからさ。聞いたの。なに、なんかあるなら
言えって。そしたら、無視してどっか行ったわ。何なん、あいつ」

 めぐみは弁当箱を開いて、きよしについて文句を言っていた。

確かに聞いたのに答えないのはなに考えてるんだとは思う。

だけど…

「きよしは声を発しないけど。話したいんだと思うけどな」

 私はめぐみに言いながら、ペットボトルのふたを開けて、口にした。

「柚は優しいんだよ。柚はさ…もっとなんか言っていいんだよ」

 めぐみは机をバンと叩いて、まだ口の中に入っていたおかずがあったが、口を開いて私に言う。

「……めぐみ。口の中見えるから」

「…あ、ゴメン。だってさ、柚は何事にも一生懸命で真面目だし、性格もよくて。みんなに好かれてるし、嫌なところ見たことがない。柚も言いたいことあったら言っていいことを知ってほしかったの」
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