君のスガタ
第二章「彼をまだ知らない」
松永慶先輩と初めて会ってから、私を見つけると、柚と声をかけてきた。
「毎度毎度、何なんですか」
私は睨みつけるかのように隣に来た松永慶先輩に言い放つ。
「別に特に意味はないけど…なんかある?」
松永慶先輩から放たれる威圧なオーラで腕を組みながら私に言う。
「…そうなんですね…私部活あるんで行きますね。では」
私は冷淡な目で松永慶先輩を見てから、隣にいためぐみに声をかけていこうとした瞬間、私の右手首を掴まれた。
「…今日、雨降りそうだけど……」
松永慶先輩は何故か天気予報の話をしてきた。
「あ、はい。そうみたいですね」
私は首を傾げて、返事をした。
「……気を付けて……」
松永慶先輩はなんでか切なそうな目で私を見て、言い放ってから歩き始めた。
あんな目……切なくてどこか輝かしい目。
なに……あの目。松永慶先輩は髪がボサボサでチャラそうなのに、表情は変わらなく、目がそう言っていた。
「……どういうこと?」
私は動揺した。松永慶先輩は私とはなにも関係ないよね。なのに、あんな顔するのか。
「柚。柚。柚!」