君のスガタ
 私はボールを両手で持って、聞いた。

 松永慶先輩はよっと手を上げて、鞄を後ろに持って笑っていた。

「体育館、電気ついていたから見に来たら、柚がいたから」

 松永慶先輩は警戒している私に笑って空気を和らげてくれたのだろうか。

「そうですか…もう遅いんですから帰ったらいかがですか?」

 私は松永慶先輩を見ないで、ボールを拾った。

「柚も早く帰ったら? もう暗いよ。夜道危ないんだから」

「お構いなく。これ1本サーブしたら帰りますから」

 私はそう冷たく言い放ち、最後のボールを拾い上げてサーブを打とうとした瞬間、松永慶先輩が打ち返す準備をしていた。

「ここまでうってみてよ」

「一人で練習するので、松永慶先輩帰って大丈夫ですから…」

 私はボールを持って冷たい目で松永慶先輩に言い放つ。

「松永慶先輩じゃなくて、慶先輩だろ! いいの俺がやりたいからやるの。早く!」

 来いと言わんばかりに両手を広げて、両肘を曲げて、構えていた。

「…っ分かりました。じゃあ、いきますよ」

 私はサーブを投げて、松永慶先輩はそのサーブを瞬時に受け止めて私にパスを返した。

「よし! 俺やるでしょ。ういー」
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