君のスガタ
こんな女みたいな顔。

しかも二重だし。

鼻も高くて。

私と比べるとはるかに顔が整っている。

なんか見ているだけで腹立たしくなってきた。

「……完璧って誰が決めた? 俺は俺のことが嫌いだよ」

 松永慶先輩は最初無表情だったがニコッと笑って、なにかを隠すように言い放つ。

「……誰が決めたとかじゃなくて、私にはそう見えるだけ」

 私は松永慶先輩の目を見据えて、思ったことを口にした。

「……そう。まぁ、帰ろう。早く準備して帰るよ」

松永慶先輩は本当に私の話を聞いていたのか分からないが、話を逸らした。

「…はい」

 私は返事をして、鞄を取りに行った。

 鞄を取り行こうと走り出した瞬間、松永慶先輩の方に振り向くと、少し俯いた。

 過去を思い出しているようだった。

 過去に同じようなことを言われたのか…

 だとしても、松永先輩は自分を自分で認めていないのかな。

「……お待たせしました。行きましょう」

 私は鞄を持って、松永慶先輩に言うと、はいはいと言って手を振って歩き始めた。

「…………」

 私たちは外に出て、無言で歩いていた。
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