君のスガタ
 送ってくれたのにお礼も言えなかったし、 あんなことも言ったし。

 松永慶先輩。

俺のこと嫌いとか言っていたなぁ。なにかあったのか。

 私は松永慶先輩が行ったと思われる道を数秒見てから、家に入っていた。

「ただいま」

 家に入ってから、両親に大きい声で声を発する。

飼い犬のチェコが舌を出して、出迎えてくれた。

 声が聞こえてきたので帰ってきたみたいだ。

「チェコ~。ただいま。松永慶先輩なに考えてるんだろうね。しかも、家まで送ってくれるなんてね」

 私はチェコをギューと抱きしめた。

チェコは首を傾げて、なんのことだと言わんばかりに私を見てくる。

「あれ? まだ手洗ってなかったの?」

 母がリビングから出てきて、私に目を丸くして言う。

「うん、今から洗うよ。チェコあとでね」

 私はチェコに言うと、ワンと吠えてリビングに戻っていた。

 手を洗い、リビングに戻ると、父と母と妹がいた。

 父は公務員で事務の仕事をしている、母は専業主婦だが、家で料理教室を開いている。 

 妹は中学二年生でとにかく恋愛主義。勉強はロクにしない。

「今日はしょうが焼きなんだ」
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