君のスガタ
 私はテーブルに並べている料理を見て、嬉しそうに言う。

「そう、今日は残り物でやったの。あまり材料がなくて、しょうが焼きで。明日いいの作るから」

 母はグッと拳を上にあげて、私達に笑顔で言い放つ。

「いやーお母さん、全然これで充分だし。帰ってきたばかりなんだから」

 私は椅子に座り、母に言うと続けて父と妹は言葉にする。

「しょうが焼き、美味しいよ。いつも通りで大丈夫だよ。なにかあったら俺作るから」

「お父さん、作るから大丈夫」

 父と妹は母を元気づけようと食べながら、母を見ていた。

 その時、妹は父が作ると言い出した。

「お父さん、本当に私が料理教室で忙しくなったら作ってくれる?」

 母はうん? と首を傾げて、父の方を向いて聞く。

 父は目を泳ぎながらも返事をして、夕飯を作る約束をした。

 具体的な日程を言わないと、曖昧になるからだ。

「ってか、ミカもさ、二人に任せないであんたも作りなよ」

 私は妹のミカに言ってから、箸で肉を掴み、口内に入れた。

 妹は私を睨んで、バクッと肉を箸で掴み、食べていた。

「……仕方ないじゃない。私苦手だもん。だったら、彼氏に作ってもらった方がいいし」
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