君のスガタ
 私は自転車置き場に着くと、自転車の鍵を開けて乗り、ハンドルを手にして、足をかけて漕いだ。

全力疾走して独り言を呟きながら、家まで漕ぎ続けた。

「はぁ。ただいま」

 私は家に着き、ため息をついて靴を履き替えた。

「今日は何食べようかな。あっ、昨日作っておいたカレーが残ってるんだった。温めよう」

 今日は両親と妹は出かけていたので、今日は私一人。

でやることを口で言いながらカレーが入っていたタッパーを電子レンジに入れて、温まっていくタッパーを見つめる。

「こんな簡単だといいのに」

 私は今日会ったテニスをしている男子を思い出す。

あんなに出来る人なら、電子レンジで一回温めるだけで出来るのかもしれないと思うと、私は胸が苦しくなる。

 なんでこんなバレーが好きなのに、レギュラーに入れない。

才能がないのか、練習してもうまくならないから。

 温まりましたとレンジが終わったのか、チンと声がした。

 私は両足を広げて座り込んだ。

 両足の隙間から頭を出して下を向いた。

 なんで頑張っているのに自分のできなさに嫌気がさしていた。

 ため息をついて少し涙目になった瞳を手で拭い、立ち上がった。
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