君のスガタ
「…柚の部活動の姿見たいと素直に思ったから。俺らも学園祭あるけど、高校三年生は自分達の絵などを飾るからね。まぁ、いいや。また、明日来るよ」

 松永慶先輩は一歩下がって手を振り、私に言う。

「……あっ……いえ…え? 松永慶先輩!」

 呼んでも振り向かずに音を立てないで去っていた。

 結局、そのために松永慶先輩はわざわざ教室に来て、私に伝えたのか。

「…松永慶先輩…」

 私は名前を呼んで、去っていたところを見て呟く。

 その傍ら、きよしは私達のことをずっと睨んでいた。

 なんなんだろう……。松永慶先輩。

 なんで私の部活姿見たいのだろう。

 疑問しか湧いてこない。

「…柚さ、あの先輩のことどう思ってんの?」

 きよしは床に腰かけていたのを立ち上がり、私に歩み寄ってきた。

「…どうって…普通だよ」

 私はキョとんとした表情できよしに伝える。

 本当に普通なのだ。

 何もない。松永慶先輩と私はなにも。

「…ふーん。ということはあっちが一方的な片思いってことか」

 小さい声できよしは発したので、なにを言っているのか分からなかった。

「なんか言った?」
< 65 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop