君のスガタ
 さっきまで柚と楽しそうに話をしていたのに、僕の時はどうでもよさそうにしている。

 まぁ、僕もボサボサ頭の先輩は興味関心もないから、同じか。

「柚のこと、どう思ってるんですか?」

 僕は聞きたかった。

 知り合って間もないはずのボサボサ頭の先輩に柚のことなんて分かるはずがない。

 僕は知り合って二年も経つ。

 この二年間を知らない訳ではない。

「…まだ、柚には言ってないけど。柚がいるだけで心が温かくなる。これで分かった。あんな迫り方じゃ、柚怖がらせるだけだよ。あと、名前は松永慶先輩な」

 ボサボサ頭の先輩こと松永慶先輩は、そういうことだからと言って、少し僕の方を鋭い目線で見据えてから去っていた。

 僕は目を見開いたまま下を俯いた。

 心が温かくなるってことは、柚のこと好きって意味だよな。

 僕はそう言えるまでの関係性を築いてこなかった。

 高校一年生の時、教室に入ると、柚が黒板を眺めていた。

 なにしてるんだろうと首を傾げて、柚を観察し始めた。

 クラスメイト達はガヤガヤと初対面だけども微笑んでいた。

 初めて同士なので、相手のことを探って探って答えていた。
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