君のスガタ
 だけど、柚はただポツリと一人で立っていた。クラスメイト達は仲良くなろうと必死で話しているのに彼女だけは違かかった。

「本当、なにしてんだ」

 まだ呆然と黒板を見ている彼女に心配していた。

僕はその時、教室のドア際の席なので彼女の横顔を見ることができた。

 彼女は黒板をじっーと何分間か見つめてから、ふいに彼女は笑った。

「…なっ」

 俺は思わず声を出してしまった。

「よし、やるか」

 彼女は自分の顔を両手で叩いて、自分の席へ戻っていた。

 戻って、彼女は一人で席に座り、クラスの様子を自分の中で分析しながら目をシャッター代わりにして撮り、その写真を整理しているようであった。

「なにしてんだ」

 俺はまた独り言を呟いて、彼女を見る。

 教室の様子を見ただけで彼女は笑っていた。

 彼女はどこかのグループに行き、話しかけていた。

 さっきまで顔色一つ変えなかったのにクラスメイト達を見てから笑っていた。

 その姿を見て、一目ぼれをした。

 その目にその姿に目を奪われて、恋をした。

 柚は男子とはあまりつるまない。大体、めぐみと話をして、楽しそうにしていた。
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