君のスガタ
そう言って僕は柚に返事をして、寸法を測るため、柚の方に歩み出す。
*
「きよし。早くやってよ」
私は今来たきよしに声をかける。
先ほどより、すっきりとした表情をしているように見える。
松永慶先輩と話して、きよしの中でなにか変わったのかな。
「はいはい」
きよしは適当に返事をして、私の隣に来ていた。
「…ほら、あっち行って。寸法測る人いるから」
私は手で指をさして、きよしは私に真顔で言う。
「柚。僕は負けないから」
きよしは力強い瞳で私に言い放つ。
「なにが?」
私は口を少し開けてから、手を下におろした。
「柚が知らないこと」
きよしは微笑んでから、寸法を測る人の所へ行き、楽しそうに女子に話しかけていた。
今まで話さなかったのが?のように気軽に話していた。
きよしが話しているのを見た男子・女子は目を丸くしていた。
え? きよしって、こんな話せたっけ?
話しているの初めて見た。本当に同一人物。
私もその姿に驚いた。
話すなんて、初対面で会ったくらいだったから。
きよしがこんなにも変わるなんて何が起こったのだろうか。