君のスガタ
「うわぁー、今年もたくさん来てるね。私たちの時も十人以上いて、入ったのはたったの二人だけどね」

 めぐみは両腕を腰におき、ため息をついて新入生を見つめていた。

 ここのバレー部は一般的な部活動とは訳が違う。

 なにが違うかというと、ただ笑う練習と筋肉をつけるためにタイヤを台車につけて走るのだ。

 これが嫌でみんな、やめていく。あと、バレー部の顧問の怖さがやめていく理由でもある。

「揃ったか?」

 バレー部の顧問柳暗(やなくら)先生が低い声で言い、やってきた。

「はい、揃っています」

 部長はすぐ大きい声で集合と叫び、部員はすぐ集まった。

「後ろにいるのは新入生だよね。あー十人くらいか。まぁ、今回は何人持つかな?」

 柳暗先生は上から目線で新入生に伝えていた。

 新入生はその言葉で目を泳がせたり、新入生同士でコソコソと話をしていた。

 柳暗先生、新入生を怖がらせてどうするんですか。まだ、あの台車でタイヤを引っ張ることしてないのに。

 私は先生の様子を見ていると、今回も新入生少ないだろうなぁと悟った。

「柳暗先生。やけに最初から攻めていくなぁ」

 めぐみは腕を組んで、考え込んでいた。
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