君のスガタ
 確かに、めぐみの言うとおりだ。

柳暗先生は最初から厳しくはない。

でも、今回は違う。

 柳暗先生になにか作戦でもあるのか。

 めぐみも私も首を傾げながら先生の説明をただ聞いた後、私たちはバレーの練習をした。

 一年生達は入る前の体力測定をしていた。
タイヤを台車にひもをつけて、身体全体にひもを巻き付けて、一生懸命に動かそうとしていた。

今のご時世、こんなのやらせていいのか抗議がきそうだが、今の所なにもないらしい。

それはそれで世の中の親は子供が心配じゃないのかと思ってしまう。

「柚。ちゃんとレシーブ受け取ってよ」

 めぐみはサーブをしたあとらしく、腰に両手をつけて、立ち尽くしていた。

「あ、うん。ごめん」

 私は呆然としていた。

 新入生のことを考えると、新入生の時の私は体力がなかったから、その時を思い出して
しまう。

 なんとか這い上がって頑張ったから、今がある。

 私はめぐみに呼ばれたので返事をして、ボールに向かった。

「今日はこれで終わる。新入生もぼちぼちやってたし。明日もあるからな」

 柳暗先生はかすれた声で言ってから周りを見渡した。
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