浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。
 しばらくして、そのまま泣き疲れて寝てしまった。目を覚ますと日が沈みかかっていた。目を擦りながらスマホを確認すると賢一郎から何回か電話の着信が。
 すると、母の弟にあたる北澤幸隆(きたざわゆきたか)から電話がかかってきた。えっ?
 幸隆叔父さんは大学病院の整形外科で働いていた。元気な母だったが、最近腰を痛めており、そこの大学病院で診てもらっていたが。
 慌てて電話に出てみると、母が激しい腰の痛みで病院に運ばれたらしい。実家は大学病院の方が近い。
 急いで支度をすると、車を運転して大学病院に向かう。救急外来に居ると言われて行ってみると、母が控え室のベットで横になっていた。

「お母さん。大丈夫?」

「緋色……ごめんね。心配かけて。ちょっと尻餅をついたら、やっちゃったみたいなのよ」

「も~年なんだから無理しないでって、言ったばかりでしょ?」

 母は父と離婚をしてから人一倍頑張ってくれていたが、やはり年には勝てない。こうやって無理をするので度々叱っていた。
 はぁっとため息を吐いていると、幸隆叔父さんが控え室に来た。

「良かった、緋色ちゃんが来てくれたんだね。ちょっとお母さん抜きで話したい事があるんだけどいいかな?」

「あっ……はい」

 改めて何だろうか? 不思議に思いながらも着いていく。
 空いている診察室に連れて行かれると、幸隆叔父さんは真剣な表情をしてきた。

「お母さんには娘には言わないでと言われたんだけど、同意書も必要だし、言っておいた方がいいと思ってね。前に行われた検査の結果、腰髄損傷(ようずいそんしょう)だった」

「えっ? 腰髄損傷ですか……!?」

 その言葉を聞いて、緋色の頭は真っ白になった。脊髄が傷つくとさまざまな身体機能がマヒしたりする。下手したら運動機能や感覚の低下だけではなく消失に。
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