浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。
 そういえば最近腰だけではなく、特に足が痺れると言っていたような?

「あ。でも、腰髄損傷そのものを治す方法は現在だと難しいけど、痛みを減少させる事は出来るから心配しないで。再生医療の骨髄間葉系幹細胞(こつずいかんようけいかんさいぼう)って知っている?」

「いえ……」

「失った組織や臓器を人口的に作り出す医療なんだけど。幹細胞には自らその組織に分化する能力もあるんだ。幹細胞を必要な場所にそのまま移植する方法と試験管の中で分化させて目的の臓器を形に作って移植する方法もあるから、それのどちらかだと痛みを半分でも減らせると思うんだけど、どうかな?」

 パソコンで画像を見ながら色々と詳しく説明してくれた。

「ちょっと待って下さい。それって、どちらにしろ母は移植をしないといけないって事ですか?」

「まぁ、そうなるけど。心配しないで、少しの組織で培養が出来るし、ここには腕のいい医師が多いから。一番いいのは後者だけど、一度お母さんと相談して決めてみて」

「は、はい……」

 緋色は返事をしたものの、頭の中は移植という単語にショックを受ける。
 母はそのまま入院する事になった。病室で母とその事について話をしたが、

「別に移植しなくても、このままでもいいわよ~お金だってかかるし。腰だって年だと諦めたら、これぐらい……くっ~いたたっ」

 そう言いながらも相当痛そうだ。平気なふりをするが、相当無理をしているのが痛いほど伝わってくる。

「ちょっと無理しないで。やっぱりやった方がいいわよ。間葉系幹細胞の移植。お金ぐらい私がなんとかするし」

 幸隆叔父さんの話だと、高額医療費として適用されるみたいだが、条件と時間もかかる。保険も入っているし、貯金も結婚資金で貯めたのを使えば。
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