浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。

　まさか賢一郎との結婚のために少しずつ積み立てた貯金が、こんな形で使われるなんて。だが、背に腹は代えられない。どうせ、結婚も破綻になるんだし。
　緋色は覚悟を決めて、貯金を医療費に当てる事にした。しかし、それが思わない事態を生む事に。それは休日明けに起こった。

　月曜になり、普通に勤務をしていると、看護部長から呼び出しがあった。
　何の用だろう？　と看護部長室まで行くと、衝撃な事を聞かされた。
　この前の賢一郎の件で、柚香は緋色が一方的に因縁をつけて暴力を奮ってきたと看護部長に訴えたらしい。その事で事情を聞かれた。
　もちろん緋色は確かに叩いてしまったのは本当だが、それには事情があったと説明する。向こうにも非があると。

「しかしねぇ～小嶋先生に聞いても、あなたが一方的に行為を寄せられていて迷惑をしていると言っていたわ。大沼さんも謝罪をするなら今回の件はなかった事にするって言ってくれているの。どちらか真実なのか私には分からないけど、院内で暴力沙汰になるのは不味いのよ。その意味は分かるわよね？」

「……そんな」

　確かに院内で暴力沙汰になるのはいけない事は分かっている。しかし、そうさせたのは向こうなのに、何で私が批判されるの？

（賢一郎も、どうして……そんな噓を言うのよ！？）

　半分は納得しても残りの半分は納得がいかない。こんなのは卑怯だ。

「とにかく、いい大人なんだから謝罪で済むのなら、そうした方がいいわ。これは、あなたのために言っているの。分かってくれるわよね？」

「……はい。申し訳ございませんでした」

　看護部長に散々嫌味を言われてしまう。
　本当の所は、まったく納得が出来ない。いい大人と言われれば、確かにそうなのかもしれないが、それで本当に終わらせていいのだろうか？