人助け契約婚の結末 ~守るからここにいろ。副社長の優しくて幸せな命令~
和未は慌てて立ち上がってお辞儀をした。
「君も行くんだ」
「え?」
戸惑う和未に、晴仁は顔をしかめた。
しまった、怒られる。ならせめて、すごく怒られる前に。
「あの……定規はどこでしょう」
和未が聞くと、晴仁は疑問符を頭に浮かべた。
「定規?」
「おっしゃっていただければ用意して参ります」
「待て、なにに使うつもりだ?」
「……私を殴るためのものです。手で殴ると痛くなるから」
晴仁は盛大にため息をついた。
和未は震えた。こういうため息は、すごく怒られる前兆だ。
「いいか」
晴仁はぐっと顔を近付けた。
真剣なまなざしに見つめられ、和未はどきっとした。
「俺は君を殴らない。まずはそれを覚えろ」
和未は驚いて彼を見つめ返した。
「だから殴るための定規なんてここにはない。いいな?」
和未はぽかんと彼を見た。言われたことに現実味がなくて、戸惑った。
だが、確かにここに来てから一度も彼に殴られてはいない。それどころか怒鳴られてもいない上、プリンやゼリーというごちそうを食べさせてもらえた。
「出掛ける準備も手伝ってやらないといけないようだな」
和未の手を引き、彼女の部屋に行く。
彼は未開封の段ボールを開けて、服をいろいろ引っ張り出した。
「女物はわからん」
彼はうなり、結局、ワンピースを着るようにと和未に命じた。
淡い水色に花柄がかわいい。どこかのお嬢様みたいだ、と和未はときめいた。
着替えて部屋を出ると、玄関で待っていた晴仁は満足そうに微笑した。
「今日は俺の言うことを聞け。命令だからな」
命令と言われてしまえば、和未には逆らうことができなかった。
車で連れて行かれたのは、高そうなデパートだった。
その一角にあるトータルビューティーを掲げる店に連れて行かれる。
二時間後、和未は髪をカットして整えられ、肌のお手入れをされ、化粧も施されて出て来た。
「君も行くんだ」
「え?」
戸惑う和未に、晴仁は顔をしかめた。
しまった、怒られる。ならせめて、すごく怒られる前に。
「あの……定規はどこでしょう」
和未が聞くと、晴仁は疑問符を頭に浮かべた。
「定規?」
「おっしゃっていただければ用意して参ります」
「待て、なにに使うつもりだ?」
「……私を殴るためのものです。手で殴ると痛くなるから」
晴仁は盛大にため息をついた。
和未は震えた。こういうため息は、すごく怒られる前兆だ。
「いいか」
晴仁はぐっと顔を近付けた。
真剣なまなざしに見つめられ、和未はどきっとした。
「俺は君を殴らない。まずはそれを覚えろ」
和未は驚いて彼を見つめ返した。
「だから殴るための定規なんてここにはない。いいな?」
和未はぽかんと彼を見た。言われたことに現実味がなくて、戸惑った。
だが、確かにここに来てから一度も彼に殴られてはいない。それどころか怒鳴られてもいない上、プリンやゼリーというごちそうを食べさせてもらえた。
「出掛ける準備も手伝ってやらないといけないようだな」
和未の手を引き、彼女の部屋に行く。
彼は未開封の段ボールを開けて、服をいろいろ引っ張り出した。
「女物はわからん」
彼はうなり、結局、ワンピースを着るようにと和未に命じた。
淡い水色に花柄がかわいい。どこかのお嬢様みたいだ、と和未はときめいた。
着替えて部屋を出ると、玄関で待っていた晴仁は満足そうに微笑した。
「今日は俺の言うことを聞け。命令だからな」
命令と言われてしまえば、和未には逆らうことができなかった。
車で連れて行かれたのは、高そうなデパートだった。
その一角にあるトータルビューティーを掲げる店に連れて行かれる。
二時間後、和未は髪をカットして整えられ、肌のお手入れをされ、化粧も施されて出て来た。