人助け契約婚の結末 ~守るからここにいろ。副社長の優しくて幸せな命令~
晴仁が玄関に行き、迎えた。
和未は慌ててポットのお湯を確認した。
淹れるべきはコーヒーか紅茶か。お茶菓子のストックは。
飲み物は彼に決めてもらおう。お菓子はクッキーで大丈夫だろう。
手土産をお持ちなら、それをお出ししたほうがいいだろうか。
そう思いながら茶器とお皿を用意した。
晴仁は母の香奈枝と一緒にリビングに戻ってきた。
彼女の顔には怒りが満ちていた。清楚な黒いショートボブに上品な化粧。上質な服を着ていて、綺麗な人だ、と和未は思った。なによりたたずまいが美しい。
晴仁に確認してコーヒーを淹れ、クッキーと一緒にトレイに載せる。
「いらっしゃいませ」
コーヒーとクッキーを香奈枝と晴仁の前に出す。
「晴仁さん、なんですかこの女は!」
「妻の和未さんです」
さらりと答える晴仁に、和未はどぎまぎした。
「私に承諾もなく!」
「結婚は本人の意志でするものです」
「内緒で結婚だなんて私のこと馬鹿にして!」
「馬鹿になんてしてません」
「将吾さんとぐるなんでしょ、ひどい!」
言いながら、彼女はうう、と嗚咽をもらした。
「誰に何をいわれたんですか」
「親切な人が教えてくれたのよ。晴仁さんが売女と結婚したって!」
和未は顔をひきつらせ、晴仁を見た。彼は無表情だった。
「誰が言ったのですか」
「この女、汐路花織の娘でしょ!?」
「母をご存じなんですか?」
和未は思わず言った。香奈枝はぎりっと和未を睨む。
「夫はずっとあの女を好きだったのよ。私と結婚してもずっと。この女と晴仁さんを結婚させるなんて、私に対しての裏切りだわ!」
和未は目を丸くした。そんなこと誰からも一度も聞いたことがない。晴仁の父は母とは知り合いだったとしか言わなかった。
和未は慌ててポットのお湯を確認した。
淹れるべきはコーヒーか紅茶か。お茶菓子のストックは。
飲み物は彼に決めてもらおう。お菓子はクッキーで大丈夫だろう。
手土産をお持ちなら、それをお出ししたほうがいいだろうか。
そう思いながら茶器とお皿を用意した。
晴仁は母の香奈枝と一緒にリビングに戻ってきた。
彼女の顔には怒りが満ちていた。清楚な黒いショートボブに上品な化粧。上質な服を着ていて、綺麗な人だ、と和未は思った。なによりたたずまいが美しい。
晴仁に確認してコーヒーを淹れ、クッキーと一緒にトレイに載せる。
「いらっしゃいませ」
コーヒーとクッキーを香奈枝と晴仁の前に出す。
「晴仁さん、なんですかこの女は!」
「妻の和未さんです」
さらりと答える晴仁に、和未はどぎまぎした。
「私に承諾もなく!」
「結婚は本人の意志でするものです」
「内緒で結婚だなんて私のこと馬鹿にして!」
「馬鹿になんてしてません」
「将吾さんとぐるなんでしょ、ひどい!」
言いながら、彼女はうう、と嗚咽をもらした。
「誰に何をいわれたんですか」
「親切な人が教えてくれたのよ。晴仁さんが売女と結婚したって!」
和未は顔をひきつらせ、晴仁を見た。彼は無表情だった。
「誰が言ったのですか」
「この女、汐路花織の娘でしょ!?」
「母をご存じなんですか?」
和未は思わず言った。香奈枝はぎりっと和未を睨む。
「夫はずっとあの女を好きだったのよ。私と結婚してもずっと。この女と晴仁さんを結婚させるなんて、私に対しての裏切りだわ!」
和未は目を丸くした。そんなこと誰からも一度も聞いたことがない。晴仁の父は母とは知り合いだったとしか言わなかった。