人助け契約婚の結末 ~守るからここにいろ。副社長の優しくて幸せな命令~
和未はみじめな気持ちでうつむく。
仕事もせずに家にいるのは、就職を禁止されて広い家の家事を全部やらされているからで、スーパーに買い物にだって行っている。
家事をきちんとする条件で、公立の高校までは行かせてもらえた。
家にいなくていい時間がうれしくて、学校では勉強をがんばった。
だが、大学は受験すらさせてもらえなかった。
卒業後、二十五歳になる現在まで家政婦代わりにこきつかわれた。
「私は若い子の肌が好きでね」
権蔵はにやにやしながら和未の手をとり、驚いた様子を見せた。
「荒れてるな」
「……申し訳ございません」
炊事洗濯、草むしりなど、すべての家事を素手で行い、ハンドクリームなどもらえないから手入れもしていない。がさがさであちこちが切れ、赤く腫れていた。
「まあいい、すぐに治るだろう」
気を取り直して彼は言う。
コーヒーが届いても和未は飲まなかった。このような飲み物は紅愛たちが嗜むもので、和未に許されたのは、水道の水だけだ。
「やせているのは偏食だからか? それでは元気な子供は産めないぞ」
舌なめずりをして、権蔵が言う。
和未はさらに深く絶望した。
結婚するなら、そういう行為をしなくてはならないだろうとは思っていた。
その上さらに、この人の子供を産み、育てなくてはならないのか。
「部屋をとってある、まずはそこで確認しようか」
権蔵が立ち上がる。
和未はおびえて彼を見た。なにを確認するというのだろう。
「処女と聞いているが、楽しみだな」
和未の顔から血の気が引いた。
まさか今日、そういうことをされるとは思わなかった。
だが、拒否したらどうなるかわからない。定規で殴る程度ですまないことは明らかだ。
和未が震えながら立ち上がったときだった。
「そこまでだ」
男性の声がした。
仕事もせずに家にいるのは、就職を禁止されて広い家の家事を全部やらされているからで、スーパーに買い物にだって行っている。
家事をきちんとする条件で、公立の高校までは行かせてもらえた。
家にいなくていい時間がうれしくて、学校では勉強をがんばった。
だが、大学は受験すらさせてもらえなかった。
卒業後、二十五歳になる現在まで家政婦代わりにこきつかわれた。
「私は若い子の肌が好きでね」
権蔵はにやにやしながら和未の手をとり、驚いた様子を見せた。
「荒れてるな」
「……申し訳ございません」
炊事洗濯、草むしりなど、すべての家事を素手で行い、ハンドクリームなどもらえないから手入れもしていない。がさがさであちこちが切れ、赤く腫れていた。
「まあいい、すぐに治るだろう」
気を取り直して彼は言う。
コーヒーが届いても和未は飲まなかった。このような飲み物は紅愛たちが嗜むもので、和未に許されたのは、水道の水だけだ。
「やせているのは偏食だからか? それでは元気な子供は産めないぞ」
舌なめずりをして、権蔵が言う。
和未はさらに深く絶望した。
結婚するなら、そういう行為をしなくてはならないだろうとは思っていた。
その上さらに、この人の子供を産み、育てなくてはならないのか。
「部屋をとってある、まずはそこで確認しようか」
権蔵が立ち上がる。
和未はおびえて彼を見た。なにを確認するというのだろう。
「処女と聞いているが、楽しみだな」
和未の顔から血の気が引いた。
まさか今日、そういうことをされるとは思わなかった。
だが、拒否したらどうなるかわからない。定規で殴る程度ですまないことは明らかだ。
和未が震えながら立ち上がったときだった。
「そこまでだ」
男性の声がした。