愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「落ち着け。……何があったか話せるか?」
「……うっ……ヒック……」
 私は泣きながら、合コンの席であったことを話した。
 本当は知られたくなかった。ずっと暉明のことが好きだったから――。
 泣き続ける私に暉明が言った。
「愛茉……今から俺がすること、嫌だったら払いのけて。突き飛ばしてもいいから」
「……? 暉く――」
 次の瞬間、私の口は暉明のそれで塞がれていた。
 暉明が……私にキス?
 え? どうして?
「……汚くないぞ」
「……?」
「愛茉の口、汚くない。こすってちょっと腫れてるし、熱くなってるけど、全然汚くない。何度でもキスできるし、したいと思う」
「て、暉くん……」
「だからもう泣くな。俺が上書きしたから」
「暉くん……でも……あんな奴に……ファーストキスだったのに」
「……クソッ」
「え、キャッ! 暉くん⁉」
 突然足をすくい上げられて、お姫様抱っこされる。足早に運ばれた先は暉明の寝室だった。
 ベッドにおろされた私は、再び押し倒されていた。今度は暉明に。
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