愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「そのまま関空に向かってくれ」
「承知しました。もうっ、海外出張にパスポートを忘れるなんてありえませんよ。私がいなかったらどうするつもりだったんですか!?」
「悪い悪い。いつもなら蒼典が準備してくれるからうっかりしてたんだよ」
「……ボーナスはずんでもらわなきゃ」
「任しとけ」
「真に受けないで。これくらい秘書として当然です。……とにかく、今から向かいます」
「ああ、こっちもまだ高速に乗ったところだから、そんなに到着時刻も変わらないだろう。着いたら電話して」
 私はパスポートをジャケットの内ポケットに入れ、コンシェルジュに呼んでもらったタクシーで関空へ向かった。
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