愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 夜明け前、私は暉明の腕の中で目覚めた。
 下腹部に残る鈍い痛みが昨日の行為を思い出させる。
 まだ眠る暉明の腕の中からそっと抜け出そうとして腕を掴まれた。
「起きたのか?」
「……! う、うん……」
 気まずい。こんな時、何を話したらいいの?
 幼馴染で上司で、ずっと好きだった人。
 そして、昨日の私を救ってくれた人。
 お礼を言うべき? あなたのおかげで救われたって。
 でも昨日のことは気にしないでほしいって言わなきゃ。だって暉明には――。
「また何か考えてるのか?」
「え?」
「何も考えるな。昨日のことは忘れろ。俺が何度でも忘れさせてやるから」
「え? ちょ、ちょっと……きゃっ!」
 あっという間に組み伏せられていた。
「んっ!」
 暉明の唇が重なってくると、昨日散々こすって切れてしまった唇の端がピリッと痛む。
 その痛さに、一瞬金森の顔が浮かんだが、今はそれどころじゃない。
「暉くん……」
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