愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか

使用人の娘

 週明け、私は同じ受付の一つ上の先輩である芳井千香子に呼び出された。
 芳井は華やかな容姿にネコ目が特徴の美人だが、性格には難があった。男性の前と女性の前では明らかに態度が変わる。
 特に冬堂の御曹司である暉明の前では顕著だった。暉明と兄が受付にいる私に話しかけてくると、必ず横から入ってくるのだ。
 そして私と仲の良いふりをしながら媚びを売る。暉明が芳井を相手にしている様子は一度もなかったけれど。
 そんな彼女の呼び出しだ。いいことなんてありえないだろう。
「あなた金曜日の夜、ブルーローズで誰かとぶつからなかった?」
「え?」
「ふふふ……ずいぶん急いでいたわよね?」
「あ、あの時は……」
 金森から逃げるのに必死で、ぶつかった相手の顔を見ていなかった。
 あれがこの人だったの?
 まさか金森さんとのこと、知ってる――?
 すっかり顔色が悪くなっているであろう私に、芳井はスマホを取り出し、1枚の写真を見せた。
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