愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか

金森の行方

 金森に襲われそうになったこと。芳井のいじめ。
 そして暉明との一夜。
 一度に押しよせた出来事に、私は押しつぶされそうになっていた。
 暉明に相談したかったが、翌週から2週間の海外出張だと言っていたことを思い出した。
 会社のどこにいても、再び金森に会ってしまうかもしれない恐怖におびえていた。
 そして受付では芳井のいじめが加速していた。
 交代の時間が来ても戻ってこなかったり、わざと足を引っかけるという古典的な嫌がらせはまだマシなほうで、メッセージをわざと伝えないなど、業務に支障をきたすことも増えていた。
 会社を休みたくはない。でも精神的に追い詰められた私は限界だった。

 そんな時だった。椿季さんとエレベーターで一緒になったのは。
「あら、愛茉ちゃん……よね?」
「……はい。田崎愛茉です」
「四野椿季よ。お兄さんとテルにはアメリカでお世話になって、仲良くさせてもらっているの」
「兄がいつもお世話になっています。あ……SNSのフォローもさせていただいてます」
「わ、見てくれてるの?」
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