愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 ロッカールームがある4階で止まったのは幸いだった。
 テル、テルって……仲が良さそうな二人の話を聞かされるのは辛い。
 やっぱり二人は付き合ってるの? 暉明はNYから椿季さんにメッセージを送っていたんだわ。
 私を抱いたことは、暉明にとって人助けみたいなものだったんだろうか。
 
 限界だった私は、同期で親友の由起に相談することにしたのだ。
「マジで最低……。金森さん、セクハラどころじゃないじゃん。それ逃げ出さなかったらレイプされてたんだよ?」
「うん……今思い出しても気持ち悪い」
「でも、朗報」
「え?」
「金森さん、転勤だって」
「うそっ」
「本当よ。異動の時期でもないのに、掲示板と社内メールに出てたのよ。見てない?」
「知らなかった……」
「みんな、何か問題を起こしたのだろうって噂してた。それが原因だったんだね。冬堂課長にレイプまがいのことをしたのがバレたんだもの。当然の結果よ。転勤先って、地方の倉庫だそうよ」
「倉庫?」
「社員1名。パート2名の部署。普通は再雇用のポストよ。本人にしたら辞めたほうがマシでしょうね。でも愛茉に手を出したんだもの、当然の結果だと思うわ」
 暉明からは何も知らされていなかった。だって、私には何も連絡がないのだ。
 でもあれから動いてくれていたのだとわかるとありがたく思う。
 金森の件についてはホッとした。
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