愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
異動
バレンタインが終わり、社内は年度末の決算期に入っていた。
芳井からの度重なるいじめに耐えながらも、暉明と秘密の関係を続けて3か月。ようやく人事課長から呼び出しがかかった。
「田崎愛茉さんね。秘書課に異動してもらうことになったわ」
「秘書課……?」
「ええ。希望の経理でなくて申し訳ないんだけど」
「あの、それって……」
「秘書課の岡島さんが妊娠してね。今すぐに産休にはいるわけではないんだけどつわりがひどいみたいで。彼女が少しでも休めるように秘書を増やすことにしたの。まあいずれ産休に入るのだから、引継ぎもかねて早めに田崎さんに入ってもらえたら助かるってこと」
なんだ、ちゃんとした理由があったんだ。
「あなた秘書検定1級も取得しているんでしょう? もったいないわよ、経理に行くのは」
「……承知しました。では4月から――」
「いいえ、明日からよ」
「明日から⁉」
「つわりは待ってくれないわよ。受付では一番下だったし、たいして引継ぎもないでしょう?」
「は、はい……承知しました」
ずいぶん急な異動だが認めてもらえたのは素直に嬉しい。それに、何より私自身が一刻も早く異動したかったのだからありがたい話だ。
芳井からの度重なるいじめに耐えながらも、暉明と秘密の関係を続けて3か月。ようやく人事課長から呼び出しがかかった。
「田崎愛茉さんね。秘書課に異動してもらうことになったわ」
「秘書課……?」
「ええ。希望の経理でなくて申し訳ないんだけど」
「あの、それって……」
「秘書課の岡島さんが妊娠してね。今すぐに産休にはいるわけではないんだけどつわりがひどいみたいで。彼女が少しでも休めるように秘書を増やすことにしたの。まあいずれ産休に入るのだから、引継ぎもかねて早めに田崎さんに入ってもらえたら助かるってこと」
なんだ、ちゃんとした理由があったんだ。
「あなた秘書検定1級も取得しているんでしょう? もったいないわよ、経理に行くのは」
「……承知しました。では4月から――」
「いいえ、明日からよ」
「明日から⁉」
「つわりは待ってくれないわよ。受付では一番下だったし、たいして引継ぎもないでしょう?」
「は、はい……承知しました」
ずいぶん急な異動だが認めてもらえたのは素直に嬉しい。それに、何より私自身が一刻も早く異動したかったのだからありがたい話だ。