愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 私の父は、現在の社長である暉明の父の秘書を務めている。
 そして兄の田崎蒼典(たさきそうすけ)は専務秘書、つまり暉明の第一秘書をしている。
 曽祖父から四代目になる暉明と蒼典は現在28歳。同学年で、幼い頃から常に一緒にいる。
 共に大学は日本の最高学府へ進学。その後アメリカへの留学ももちろん一緒だった。暉明の隣には常に兄がいた。
 そんな男系家系だった両家だが、四代目にして田崎家に私、愛茉が生まれた。
 「田崎が冬堂を支える」のは当たり前。そのため女子大卒業後は、妹の私も当然のように冬堂製薬に入社させられた。

 今回のNYへの出張は、冬堂製薬とアメリカの製薬会社バイオスプリングスとの共同開発事業の第一歩だった。
 いつもならピッタリ傍にいる兄は、先にNYへ渡り、拠点となる住居を整えていた。
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