愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 そこで私は『専務』としての暉明への接し方を徹底することにした。業務時間中は必ず『専務』と呼び、言葉遣いも崩さない。秘書として当たり前のことだけれど、徹底して線引きをしないと二人でいるときのことを思い出してしまうのだ。専務の顔を見ていちいちときめいていては大変だ。
 でも暉明は言う。
「秘書モードの愛茉も可愛い。俺を煽ってるとしか思えないな」
 そんなつもりは全くない。私は真面目に仕事をしているだけだ。
 そうして徐々に秘書としての業務に慣れていき、秘密の関係もバレることなく順調な一年を送った。
業務時間中の兄の干渉はよくあったが、意外なことに退社後の私生活には干渉してこなかったからかもしれない。
 暉明の話では、兄にもお付き合いをしている人がいるらしい。
 兄は昔からとにかくよくモテた。手前みそだが、甘く整ったマスクに暉明よりも高い185センチという高身長に加え、細マッチョなガタイも良い。低い声も社交性が高いところもポイントが高いし。
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