愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 あまりの驚きに、声が出てこなかった。
 椿季さんが妊娠? 体調が悪いって、子供ができたから?
 頭が混乱していた。会社中で噂されている暉明と椿季さんの結婚。やっぱり本当は――。
「愛茉ちゃんお待たせ! ごめんねー父からの電話が長引いちゃって」
「あ、いえ……。あの、カバン、隣の人が落としちゃって、謝ってました」
「ああ、拾ってくれたの? ありがとう」
「あの、私、急に仕事の呼び出しが入ったので先に失礼します」
「え?」
「……すみません!」
 今はどうしても椿季さんと一緒に食事をする気にはなれなかった。
 私は店を飛び出し、会社へ戻らず、近所の公園へ行くことにした。
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