愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「専務、関空に着きました。今どちらに――」
「デルタ航空のチェックインカウンターに来てくれ」
 指示通りデルタ航空のカウンターを目指す。するとそこには、長いフライト時間に備え、黒のスラックスに白のTシャツ、柔らかそうな黒のジャケットというシンプルなコーディネートをした暉明がいた。
 180cmという長身痩躯の身体で、こういうスタイルにサングラス姿だと芸能人みたいなのよね。周りを見ると、チラチラと女性が視線をなげかけているのがわかる。
 私を見つけた暉明がサングラスを外す。すると鼻筋の通ったクールなイケメンが満面の笑みに。
「愛茉! おつかれ。悪かったな、こんなところまで」
「お疲れ様です。高速に乗る直前に気づかれて良かったです。はい」
 私は内ポケットに入れていたパスポートを手渡した。
「サンキュー。愛茉がいなかったら乗り遅れてたかもしれない」
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