愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「愛茉っ!」
「……暉くん? どうしてここに……」
「お前、誤解してる!」
「え?」
「見たんだろう? 椿季の母子手帳」
「……」
「確かに椿季は妊娠している。でもそれは俺の子じゃない」
「……!」
「今日、全部話すつもりだった。椿季の子供の父親は蒼典だ」
「へ? お兄ちゃん⁉」
「ああ……」
 そこで俺は初めて、俺たちが出会った時のことを話した。
「一目ぼれ⁉」
「そう。椿季が蒼典に一目ぼれしたんだ。蒼典は初め、俺に遠慮があった。だがどう見ても蒼典も椿季に惚れていた」
「暉くんは……」
「俺は椿季に対して何の感情もない。ただの気の合う友達だ。言っただろう? 俺はずっと小さい時から愛茉のことが好きだったんだ」
「う、うん」
「ただ、SNSにアップした一枚の写真がひとり歩きしてしまって、俺と椿季の婚約話が一気に持ち上がってしまった」
 そう。あの時の一枚が、まさか株価にまで影響することになるとは思わなかったんだ。
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