愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか

　その通りだった。蒼典はずっと俺に遠慮をしていた。俺が椿季に気がないとしても、立場的に支える身でありながら婚約者候補を奪った形になるのではないかと。
　俺としては全く気にする必要はないと言ったのだが――。
「椿季さんと付き合いながらも、きっと葛藤したはずだから。田崎は冬堂を支える立場なのにって。だから誰にも知られないように、いつでも自分が身を引けるように口止めしたんでしょう？」
「……愛茉には全てお見通しだな」
「お兄ちゃんの考え方くらいわかるわ。でもそれって椿季さんに失礼よ」
「そうだな。愛茉の言う通りだ。子供にまで恵まれながら、なに遠慮してるんだって話だよな」
　うんうん、と愛茉が同意してくれる。
　良かった。一番の懸念事項だった愛茉の理解がこんなにすんなり得られるとは思ってもみなかった。
　やっぱり俺の愛茉はよくわかってる。
「じゃあ、愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか」
「……どうするの？」
「まあ見てて。行こう、愛茉」