愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 暉明に連れていかれたのは社長室だった。
「失礼します! 遅くなってすみません」
「暉明、随分遅かったな」
 社長室には暉明の父、冬堂寛明(とうどうひろあき)と私の父の田崎義典(たさきよしのり)、そして兄がいた。
「愛茉? どうしたんだ?」
 父が暉明の後ろに私がいることを不思議に思っている。
 どうしよう。暉明はなぜ私をここへ連れてきたの?
 すると、さらにノックの音が。
「突然失礼いたします。今よろしいでしょうか?」
「椿季さん!?」
「あっ、愛茉ちゃんさっきはびっくりしたでしょ? ……ごめんね、後でちゃんと話すから」
 どうして椿季さんまで……?
 暉明と椿季さんそして兄が目配せをした。
「社長……いや父さん、おじさん。話があるんだ」
「話? なんだ、結婚でもする気になったか?」
「専務? 私まで同席していてよろしいのでしょうか?」
「おじさん、今は昔みたいに暉明でいいから。まずは……蒼典?」
「ああ。……父さん、社長、報告があります」
「蒼典?」
 どちらの父親にも、頭の上にはてなマークが見える。
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