愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 兄が何を言い出すのかと見守っていると、椿季さんが兄の隣に立った。そして、兄の手を握る。
「お、俺は四野椿季さんと結婚します!」
「はあ!?」
「椿季のお腹には俺の子供がいます」
「な、なんだと? お前……」
 父が顔面蒼白になっている。
「私……今、妊娠9週目で3ヶ月に入りました」
「さ、3ヶ月?」
「順序が逆になって申し訳ありません。でも私たち、お付き合いして5年目になります。出会った時から真剣に交際をしてきました」
「父さん、突然で驚いたと思うけど、俺は子供ができていなくても椿季と結婚したいと思っていた」
「蒼典……いや、しかし……」
 父が社長のほうをチラッと見ながら、どう答えるべきかと躊躇している。きっと今まで、椿季さんと結婚するのは暉明だと思ってきたのだろう。
「おじさん。俺はもちろん蒼典と椿季が結婚することを望んでいます」
「暉明……。だがヨツノとの関係は、君と椿季さんの婚約が前提で――」
「暉明、確かに私もそう思ってきた。お前は椿季ちゃんとのこと一切否定しなかったからな」
「肯定もしてない。ただ、世間で噂されているそのままの状況ではないけど、ヨツノと縁戚続きになるのは間違いないから」
「……? どういうことだ」
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