愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「い、いえ、こちらも突然押しかけてしまって……」
 おそらく父や社長より一回りは上だと見受けられる四野社長は、憔悴しきっているように見える。
 娘の妊娠がショックだったのか、相手が予想外で冬堂に対して負い目を感じているのか……。
「先ほども申し上げた通り、こちらも今日初めて知ったんですよ、椿季ちゃんと蒼典が付き合っていたことを。それから、うちの暉明と蒼典の妹の愛茉が付き合っていたことも」
「……はい?」
「本人の口から説明させましょう。暉明?」
「はい。四野社長、遅くなりましたが自己紹介させてください。冬堂暉明と申します。後ろにいる田崎蒼典は僕の秘書です。5年前、僕たちはアメリカで偶然椿季さんと出会いました――」
 そこから、さっき公園で私に話した内容を四野社長に聞かせた。
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