愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
「……どうでしょう? 四野社長、この子たちの結婚を認めていただけないでしょうか」
「も、もちろんです。田崎さん? 冬堂社長の前でこんなことを言うのどうかと思うが、私は元々椿季には好きな相手と結婚してほしいと思っていた。上の二人とは年が離れていてね。兄たちはもう結婚して子供もいる。もちろん相手が誰でもいいというわけではない。だが椿季が選んだ人なら間違いないと思っているんだ」
「四野社長……寛明も、感謝します」
「ほう……お孫さんがいらっしゃるんですね。おいくつなんですか?」
「長男の方が10歳と8歳の男の子で、次男の方が6歳と4歳の女の子なんですよ」
「いやー、いいですね。ちょうど二歳ずつ。しかも男女のバランスもいい。さらに椿季ちゃんのお孫さんにまで恵まれて羨ましいですよ」
 孫の話題になったからか、四野社長はとても柔らかに微笑まれた。辺りを包んでいた空気が一気に和らぐ。
「義典もいいよなぁ。孫か……」
 と、社長がつぶやく。
「まあ、できればうちもなるべく早く……」
「父さん、それは任せてくれ」
「……?」
 私たちも早く結婚するってことかな?
 こんな風にそれぞれの親たちが認めてくれる日が来るとは思ってもいなくて、夢を見ているようだった。
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