愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
指輪と甘い時
「ただいま」
「おかえりなさい! 遅かったのね」
「ああ……ちょっと寄るところがあって」
 今日の午後は椿季さんの妊娠騒ぎや、四野社長が来られたことで秘書課は大変な騒ぎだった。
 幸いなことに、長期出張明けでアポイントも入っていなかったため、業務に問題はなく定時で帰ることができた。
 でも今は午後9時。随分と遅い。
「あの後何かあったの?」
「い、いや? お腹空いたな」
「暑かったから、冷しゃぶにしたの。手を洗ってきて」
「わかった」
 暉明が手を洗っている間に、冷蔵庫からお惣菜を取り出し、テーブルに並べていく。
 いただきまーす、と食べ始めるが、どこか暉明の様子がおかしい。そわそわしているのだ。
 食べ終わって、コーヒーをいれに行こうとすると、呼び止められた。
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