愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
証言 side暉明
 昨夜は愛茉に無理をさせてしまった。
 だがそれも仕方ないと思う。プロポーズが成功した夜だったんだから。
 断られるとは思っていなかったが、さすがの俺も緊張した。愛茉が承諾してくれた後は安心と多幸感でタガが外れてしまったのだ。
 それに3か月も禁欲していたんだ。子供まで作った二人を横目に、どれだけ愛茉に会いたかったことか。少しくらい大目に見てほしい。
 俺は疲れ切ってまだ眠る愛茉を寝室に残し、早朝出勤をした。

 時は昨日に遡る。
 実は定時で退勤後、指輪を購入し、ある人と会社近くのテリーズで会っていた。
「専務、突然お呼び立てしてすみません」
「君が川島君だね?」
 俺を呼び出したのは、愛茉の同期の川島伸吾だった。
「時間がない。早速話を聞かせてくれるか?」
「はい。電話でお話しした通り、愛茉さんは受付でいじめにあっていました」
 それは寝耳に水の話だった。
 愛茉はあの金森事件の直後から、受付の芳井にいじめを受けていた。そして俺の写真をネタに脅されていたのだと。
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