愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 「愛茉さんは異動になるまで耐えていました。このまま何もなければいいと思っているようですが、由起……同じ同期で俺の彼女なんですが、由起がやっぱりこのままではいけないと。俺も写真を握られている限り、愛茉さんは本当の意味で解放されないと思います。だから俺たちが専務にお伝えしようと思った次第です」
「……よく教えてくれた」
 受付の芳井千香子。何度も俺に言い寄ってきていたのでよく覚えている。
 受付を通った時だけでなく、待ち伏せされて話しかけられることもよくあった。全く相手にしなかったが。
 結婚相手は俺の同期の渡会か。これは早急に対処しなければいけない。

 そして今朝。俺は一般社員の出勤前に、本社ビルの警備室を訪れていた。
 当時の監視カメラの映像はさすがに残っていなかった。もう一年以上の月日が流れているのだから無理もない。
 しかし、正面玄関を担当している二人の警備員ならどうだろうか。
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