愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 そのSNSは私も見た。兄とバイオスプリングスの担当者が、肩を組んでキャンプファイヤーの前で踊っている写真だ。かなりふざけていた。
 着いて早々、持ち前の社交力を発揮しているらしい。兄はどこへ行っても誰とでも仲良くなれ、たくましく生きていけるタイプだ。
「……椿季さんならなんだってこなせちゃいますよ。その美貌でバイオスプリングスの皆さんを虜にしちゃってください」
「あら、愛茉ちゃんったら可愛いこと言って〜。お土産買ってくるわね」
「ありがとうございます!」
「愛茉ちゃん本当に可愛い。こんな妹が欲しいわ」
「ああ、愛茉は最高に可愛い」
 な、何言ってるの!?
「椿季とは正反対だよな。お前、気が強いし」
「失礼ねー。気が強くてもいいって言ってくれる人もいるのよ? これでも結構モテるんだから!」
 そりゃそうだろう。こんな綺麗な人、モテないはずがない。こんな風に気軽に話せるのは暉明と兄くらいだ。普通は椿季さんを前にしたら緊張しちゃうもの。
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