愛する秘書さん、そろそろ大団円といきますか
 そして翌日、有給消化中の芳井が社を訪れ、渡会と俺がいる前で愛茉に謝罪した。
「田崎さん、今までのこと本当に申し訳ありませんでした! 私、可愛くてみんなにちやほやされているあなたに嫉妬してた。ひどい態度だったと思う」
「芳井さん……」
「あの写真は、ここにあります」
 芳井はスマホを取り出し、問題になっている写真を俺たちに見せた。
 たしかに、その写真は一見すると俺が愛茉に暴力をふるい、無理強いしているように見える。
 もしこれがSNSに流れたら俺の社会的立場は危うくなるだろう。
「誓って言います。この写真はどこにもアップしていませんし、誰にも見せていません。もちろんコピーも取っていないので……専務、今ここで削除してください」
 そう言って、俺にスマホを渡した。
 俺は、アルバムからその日のすべての写真を選択し削除したあと、最近削除した項目からもう一度それらの写真を選択し、すべて消去した。
 それを見ていた愛茉は、明らかな安堵のため息をついたかと思うと、崩れ落ちた。
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