油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
あとで後輩に連絡して大丈夫だったか聞き、明日にでも労基に行こうかと思っていた。

「そういう兎本さんが俺は気に入ったからできるだけ力になってやりたいし、それに」

一度言葉を切り、渡守さんが真っ直ぐに私と視線をあわせる。
レンズの奥の瞳は艶やかに光っていて、綺麗だと思った。
じっとその瞳に見つめられ、囚われたかのように私も見つめ返した。

「俺の乗ってるショベルで恋の落とし穴を掘って、そこに突き堕としてあげようかな、って」

伸びてきた手がなにをするのかわからずにただ見つめる。
その手は私の頬をするりと撫でて離れた。

「覚悟しといてね、璃世ちゃん?」

眼鏡の影で目尻を下げ、渡守さんがにっこりと笑う。
容量いっぱいになった私は頭から湯気を噴き、パンクした……気がした。

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