油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
ひとりになって、大きなため息が出た。

「あーあ」

また、断ってしまった。
今日は用事があったからとはいえ、申し訳なくなってくる。
もうちょっと私に、勇気があれば。
いや、御曹司に喧嘩を売るような私に勇気がないなんて、あるはずないんだけれど。

昼間、事務所でひとり、過ごす。
社長も現場に出ているので、留守番と電話番も兼ねていた。

「うーん、そろそろ一息入れるか……」

ポットからお湯を注ぎ、お茶を淹れる。
現場にあわせて、私も十時と三時の休憩を入れていいようになっていた。
こんな天国な職場この世にあったのかと驚きだ。

「どうしようかな……」

お茶を飲みながら携帯で美味しそうなお店を探す。
まだあの会社で苦労している後輩には、美味しいものを食べさせたい。
いくつか候補を決めたところで画面を閉じ、仕事を再開する。

ここでの仕事は営業事務と総務、経理も兼ねていた。
前の会社では営業事務をしていたので見積もりを作ったりだとかは問題ないが、簿記などはわからない。
そう言ったら、勉強してくれと頼まれた。
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