油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
だから私に後悔はないし、辞める選択肢もない。
それに社長は、これからを考えているし。

現場は他の人に任せてきたとかで、社長は溜まっている事務処理を始めた。
ついでというとあれだが、わからなかったところを教えてもらう。

「あ、これってのりめんって読むんですね。
で、道路とかのあの、斜面になってるところ、と」

「そう。
専門用語とかわかりづらいよね」

「いえ!
ちなみに工事現場の専門用語を解説してる、オススメの本とかありますか」

「ちょっと待ってね」

立ち上がった社長は事務所から出ていった。
もしかしたら二階の自宅に行ったのかもしれない。

「これ。
よかったら」

少しして戻ってきた社長が、一冊の本を渡してくれる。

「ありがとうございます!」

ありがたく、それを受け取った。
これでもっとできるようになって、山背部長に無駄とか言わせないんだ。

「戻りましたー」

夕方になり、作業員さんたちが現場から帰ってくる。

「おかえりなさーい」

「今日、アイツ来たんだって?
大変だったね」

「セクハラとかされたら、おじさんたちに言いなよ?
ガツンと一発、かましてやるからさ」

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