油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
「うーっ」

小突かれた額を押さえる。
私を落とそうとしている渡守さんと彼らは違うのかと思ったが、少なくとも渡守さんは私を無事に家へ送り届けたらそれ以上は期待せずに帰りそうだ。

「……わかりました」

「うん」

満足げに彼が頷く。
その笑顔に胸がぽっと温かくなった。

後輩を迎えに行き、渡守さんが紹介してくれた店へと向かう。

「あの。
渡守さんの紹介で……」

「ああ、聞いてるよー。
席に案内するなー」

入り口付近にいた店員に声をかけたら、奥から熊のような男性が出てきた。
たぶん、オーナーなのだろう。

「とりあえず、なに飲む?」

「そうですね……」

メニューにはワインベースのカクテルがずらりと並んでいて珍しい。
私はカリモーチョ、後輩はキール・ロワイヤルを頼む。

「ゆっくりしてねー」

飲み物とともに数品、軽くつまめる小鉢料理をサービスだと出し、オーナーは下がっていった。

「とりあえず。
お疲れ」

「お疲れ様です」

小さく乾杯し、料理をつまむ。

「どうですか、仕事のほうは」

「まあ、ぼちぼち?」

小さく笑ってグラスを口に運ぶ。

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