油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
「でもよかったですね、いいところに拾われて。
格安の弁護士も紹介してくれたんでしょ?」

「うん、それはもう、神様に感謝したいよ」

採用が決まってすぐ、渡守さんが友人だという弁護士を紹介してくれた。
おかげで離職票が無事に発行され、さらに残りの給料も振り込まれた。
しかもそれらの手続きを知り合い価格にて格安でやってくれたのだ。

「いーなー。
こっちは弁護士探しで行き詰まっててですね……」

はぁーっと憂鬱そうに後輩がため息をつく。
私が辞めたあと、後輩曰く〝目が覚めた〟らしい。
我慢していたところで私が言ったとおり、あの御曹司が後を継ぐ限り会社は潰れる。
どうせ沈む泥船なら、沈む前に叩き壊してやれ!と思ったらしい。
こうして彼女と思いを同じくする人たちで、セクハラパワハラで訴えようと動いている。

「うーん。
私によくしてくれた弁護士さん、紹介してくれないか聞いてみようか……?」

あの弁護士さんは渡守さんの紹介だというのもあるが、会社からの仕打ちに本気で怒って力になってくれた。
彼だったら後輩たちの力にもなってくれるんじゃないだろうか。

「ほんとですか!?」

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