油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
声をかけられてそちらを見ると、昔の同僚がいた。
「あっ、ひさしぶり……」
どういう表情をしていいのかわからず、笑顔を作る。
彼は私なんかよりもずっと早く、会社を見限って辞めていた。
「元気そう、……だね」
彼に言いたいことはたくさんある。
けれど、喉に引っかかって出てこない。
「そっちこそ。
まだ、あの会社にいるのか」
心配そうに彼の眉間に皺が寄る。
「あっ、少し前に、……辞めた」
「うん、それが正解だ」
彼は頷いているが、私はそれが正しいと思えなかった。
あなたが辞めたあと、私たちがどうなったのか知ってる?
ひとりで辞めないでせめて、一緒に辞めようと声をかけてほしかった。
「璃世。
どちら様?」
私の上から渡守さんの声が降ってくる。
「……昔の、同僚」
「そう」
渡守さんの腕が私の身体にかかり、自分のほうへと引き寄せる。
それはどこか、警戒しているように思えた。
もしかしたら彼と私がそれだけの関係ではないと気づいているのかもしれない。
「アンタこそ、誰?」
苛立ちを隠さないまま、彼が渡守さんを睨む。
「璃世の彼氏です」
「あっ、ひさしぶり……」
どういう表情をしていいのかわからず、笑顔を作る。
彼は私なんかよりもずっと早く、会社を見限って辞めていた。
「元気そう、……だね」
彼に言いたいことはたくさんある。
けれど、喉に引っかかって出てこない。
「そっちこそ。
まだ、あの会社にいるのか」
心配そうに彼の眉間に皺が寄る。
「あっ、少し前に、……辞めた」
「うん、それが正解だ」
彼は頷いているが、私はそれが正しいと思えなかった。
あなたが辞めたあと、私たちがどうなったのか知ってる?
ひとりで辞めないでせめて、一緒に辞めようと声をかけてほしかった。
「璃世。
どちら様?」
私の上から渡守さんの声が降ってくる。
「……昔の、同僚」
「そう」
渡守さんの腕が私の身体にかかり、自分のほうへと引き寄せる。
それはどこか、警戒しているように思えた。
もしかしたら彼と私がそれだけの関係ではないと気づいているのかもしれない。
「アンタこそ、誰?」
苛立ちを隠さないまま、彼が渡守さんを睨む。
「璃世の彼氏です」