油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
「ありがとうございます」

「ん」

私の顔をのぞき込んだ渡守さんがふわっと笑う。
それだけで心が満たされるのってやはり、私が彼を好きになっているからなんだろうな。

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

私の頭を軽くぽんぽんし、彼がマンションに入るように促す。
手を振る彼に見送られて、部屋へと行った。
電気をつけて掃き出し窓を開け、外を見ると車が出たところだった。

「あと少し、待ってくださいね」

去っていく車にそっと話しかける。
もう少しだけ私に勇気が出せれば、私も素直になれると思うから――。
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