油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
最終章 恋の落とし穴に堕ちました
それから。
渡守さんは後輩に弁護士を紹介してくれ、弁護士さんは快く依頼を受けてくれたそうだ。
また、あの弁護士さんは依頼費は格安でなんて言ってきたらしいが、ちゃんと儲けが出ているのか心配になるところだ。
しかし。

『普通に依頼費、払いますよ。
てか、依頼費払えるくらいアイツから慰謝料ぶんどって勝ちましょう!』
……と、後輩は激励したらしい。
目覚めた後輩は本当に、頼もしい。
証拠も十分、裁判の負けが決まったようなものなのは向こうのわかっているらしく、御曹司側は慰謝料を支払うと提案してきたそうだ。
けれど後輩たちは自分のやったことをしっかり自覚しろと、和解を蹴って裁判をするらしい。



その日は雨で、工事はお休みだった。
どこの会社でもそうだが、雨の日は工事をしない。
特にうちは安全第一でよっぽどの工期の遅れがない限り、雨の日の作業はしないそうだ。

「兎本さーん、なんか箱ない?
こんくらいの」

「はいはーい、ちょっと待ってくださいねー」

作業員のおじさんに声をかけられて立ち上がる。
今日は現場に出られないので、作業員たちは倉庫の大掃除をしていた。

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